「すこやかフェスタ2018」イベント会場でのトークステージ。
乳がんをいち早く見つける方法を会場の皆さんと一緒に考えました。
恩田 千佐子アナ
「キャッチ!」メインキャスター。2017年11月に乳がん手術を経験
矢方 美紀さん
タレント(元SKE48)。2018年4月に25歳で乳がん手術を経験
小林 茂樹教授
藤田医科大学医療科学部放射線学科の教授。画像診断の専門家
矢方さんはセルフチェックの方法をテレビ番組で見てやってみたことが、乳がんが見つかったきっかけだったそうですね。
偶然見たテレビ番組で乳がんの特集を放送していました。セルフチェックで乳がんが見つけられると知り、ネットでやり方の詳細を調べて実践したんです。すると「あ…これはしこりだ!」と。女性は乳がんでなくても、一時的にしこりができたりすると聞いていましたが、心配なので病院に行ったほうがいいと行動に移しました。私はこの段階で病院に行けたのがすごく大きかったです。私ぐらいの年齢だと、検診に行く機会がなかなかないですから。
私の娘が今大学3年生ですけど、その年頃って健康診断や定期検診を受ける機会が少ないですもんね。
特に私は芸能活動をしていますから。会社員の皆さんとちがって、自発的に行くことが基本です。今まで大きな病気もしたことがなかったので「私は健康だ」と思い込んで生きてきました。
健康診断や定期検診を受ける機会が少ない中で、乳がんを発見できるのがセルフチェック。きちんとしたやり方を覚えて、気づくことが大事ですね。
矢方さんはご自分でよく見つけられたと思います。とにかく定期的にチェックしていただいて、しこりを確認したら検診ではなく真っ先に病院へ行ってください。
私のケースをお話しさせていただきますと、しこりは全く感じませんでした。年に一回検診を受けていて、先生に「嚢胞(のうほう)ができやすいタイプなので、がんには注意してくださいね」と言われていたんです。特に意識せず普段通りの生活をしていたところ、乳頭から透明な汁が出て。一般的には血が混じった液が出た場合に注意が必要と言われていますから、「血は混じっていないから大丈夫なはず」と一旦は思いました。でも、やはり心配ですし、万が一ということもあるので、先生に大丈夫だと言ってもらいたくて病院へ行ったんです。そうしたら、細胞検査、組織検査と進み、「これは確実にガンです」と診断されました。判明したのは通い始めてから2か月後です。
そうなんですよね。私も病院に行けば乳がんかそうじゃないのか、すぐに分かると思っていました。検査を重ねて詳しく調べた上で結果は出るんですよね。結果が出るまで不安になることもありましたけど、分かってよかったと今では思っています。
私も結果が出るまで不安になったりしましたけど、分かってラッキーだったと、今は思えますね。
がんは検査後にステージを宣告されます。最初はステージ「I」と言われて、「早期発見だから治療すれば大丈夫」と思っていたんです。ところが手術を終えて病理検査の結果を見たところ「Ⅲa」だと。がんは若い人の方が進行が早いとよく聞くので「手術するまでに進行してしまったのかな?」と思いましたし、周りの人からもそう言われました。実際にはどうなのでしょう?
確かに若い人の方が進行は早いと思います。ですが、全てのケースに当てはまる訳ではありません。手術して初めて進行の具合が分かるというケースも多々あります。
私もおそらくステージ「I」だと言われて手術したところ、リンパ節にも転移していたことが分かりました。病理検査をしたところ「IIb」。大きさも1センチ程と思われていたものが、実際には2.4センチありました。
かなり違いますよね。
そうですね。結局のところ、最初の検査段階では細かいところまでは分からないのでしょうか?
そうですね。
手術前、先生からしこりの存在を教えてもらいましたが、「ちょっと何かあるかな」ぐらいでした。娘も立会ったので、彼女にも実際に触ってもらったのですが、「全然分からない」と言っていました。
ちょっとした変化を見つけてくれる病院の方ってすごいと思いますよね。レントゲンの写真で「これがあなたの乳がんですよ」と教えていただいても私には全く分からなくて。「一体どれなんだろう?」という状況でした。
今回の「すこやかフェスタ」に設営した「ススメブース」にも、しこりがどんなものなのか、触診できるコーナーを作ってあります。その中に硬いしこりと、やわらかいしこりを忍ばせてありますが、実際に触ってみると、硬いしこりは石のようにコリコリしてすぐに分かる一方、やわらかいしこりはよほど気をつけないと分かりません。3本の指を使ってゆっくりと圧迫しながら触ると、指の腹に「何か触ったかな?」という感じがようやく伝わってくる程度です。このしこりはあくまでも1例であって、当然がんによるしこりは様々ですが、参考にしていただければと思います。
中指の腹を使うと分かりやすいと思います。
ぐぐぐっと押すと、やっと分かる感じですよね?
できればお風呂に入る際、石鹸を使って滑りやすい状態にして行ってください。
タイミングとしては、生理が終わるころが胸が柔らかくなっていておススメです。
石鹸を使うのがポイントだということで、ススメブースで「セルフチェック体験」をしていただいた方に、オリジナルの石鹸をプレゼントしています。お風呂に入った時、月に1度、この石鹸で滑りをよくしてやってみてください。一日も早く気づくことが何より大切です。
私もしこりのチェックは、お風呂で体を洗うときにやっています。
ではセルフチェックの方法を説明します。イラストにもありますが、3本の指で縦横、わきの下もしっかりと確認しましょう。そして乳房の周りをぐるっと触ります。乳頭の裏側にできることもあるので、その辺りもしっかりとまんべんなく触って確かめましょう。石鹸を使って滑りをよくするのがポイントです。ぜひススメブースで体験してみてください。また、見た目に変化がないか、乳頭から血性分泌物がないかもチェックして下さい。普段からさわっていると「変化」を感じることができると思います。定期的にチェックをして「異変」があれば、すぐに専門機関を受診して下さい。
子育て応援団チュウキョ〜くんのすこやかフェスタ
2018年10月20日(土)と21日(日)の2日間、秋晴れの空のもと、名古屋市南区の日本ガイシホールで「子育て応援団 チュウキョ〜くんのすこやかフェスタ2018」が行われました。子育て世代のママ、パパ、そしておばあちゃん、おじいちゃんに、乳がんの正しい知識を持っていただこうと、「ススメ」プロジェクトの一環としてトークステージを開催。元SKE48メンバーの矢方美紀さん、藤田医科大学 医療科学部放射線学科の小林茂樹教授をお迎えし、中京テレビの恩田千佐子アナウンサーの司会で進行しました。矢方さんと恩田アナは乳がん経験者で現在も治療を継続中。二人の体験談と小林教授の専門的な見地からのアドバイスに、来場者の皆さんも真剣に聞き入っていました。トークショー後は乳がんのセルフチェック体験ができる「ススメブース」に長蛇の列。これをきっかけに、セルフチェックを習慣化していただけたら何よりです。